第四章 直近における政治トラブル

2021年6月10日 資料

 

 

第四章 直近における政治トラブル

 

 

 現在、生じている政治トラブルについて報告します。議員側が把握していなかったことを問題視する声もあげられましたが、そもそも本書のような資料が存在しておらず新たに参加した政治家には把握する術はありませんでした。また本稿で記すように、トゥール氏は自らを公式団体と認定するよう迫っている事実もあり、意図的に錯誤の誘発を狙った可能性も指摘されています。

 

 

(1)ウイグル協会が作成協力し共に集めた署名を、連盟のトゥール氏が提出
 ウイグル問題に関連する国会請願に5万人もの署名が集まり、国会に提出され付託されました。この署名は、日本ウイグル協会に極めて近い日本人支援者も作成に協力しており、また署名協力は日本ウイグル協会が行っております。各種のネット媒体(虎ノ門ニュースなど)にも取り上げられておりますが、背景には日本ウイグル国会議員連盟、および出演してきた日本ウイグル協会の支援があったことは事実です。
 しかしながら、署名提出者とは連携が難しくなっていたようであり、作成協力・署名協力はすれども、意向については擦り合わせが困難な状況にあったと伺っております。
 結論から申しますと、日本ウイグル協会の色合いが強い署名簿は、日本ウイグル連盟のトゥール氏が同席して提出する事態となりました。産経新聞などで写真付きで報道され、関係者に大きな衝撃を与えました。紹介議員は、山田宏先生・中谷元先生でありますが、一部からは疑問の声が挙げられました。その一部とは、かつてウイグル国会議員連盟が休眠状態に陥った過去を知っていたり、再稼働に向けてウイグル活動の一本化に尽力してきた古参の保守派であり、彼らの憤りも理解はされるべきでしょう。
 しかしながら最大の問題は、これらの経緯と課程がまとまっておらず、政治家サイドも連盟と協会の違いが認識されていなかったことにあり、仮にトゥール・ムハメット氏が自らの復権のために署名を利用としたとするのであれば、両国会議員は被害者の側面が強いと言わざるを得ません。
 その上で現在は超党派に改組されてはおりますが、ながらく自民党の議連であったウイグル国会議員連盟に対し、5万人もの署名が提出されようとする中で、両事務所から事前の連絡がなかったのであれば、それは政党人としては批判されるべきなのかもしれません。客観的な事実として、本請願は衆参両院それぞれ1名ずつの紹介議員となっております。
 国会法に基づくのであれば、20名の議員をもって確実に審査される仕組みであり、ウイグル国会議員連盟には50名以上の国会議員が在籍することから、トゥール氏および署名提出者からも、また紹介議員の両名からも調整はなされなかったと判断せざるを得ません。

 この署名は、集めている過程において、幸福実現党の方々が急激に応援を開始しており、また署名提出者らはTwitterなどで幸福関連団体への寄付などを呼びかけ始めた事実があります。さらに当該“幸福の科学であることを公言するインフルエンサー”は、紹介議員が2名に留まった際に、「ウイグル議連は集まってお茶飲んで終わりっぽいので無理ですw」という投稿を引用した上で、「やっぱりそうか。」「やってるフリ」などと批判を展開していることから、保守層の批判を(主として)自民党にぶつける意図をもっている可能性も指摘されています。
 本件署名は、日本ウイグル協会が直接の関与をしたものではありませんが、政策要望などを一元化して行うべく、在日ウイグル人をまとめようと努力してきた、日本ウイグル協会の現体制を守る幹部らは、本件騒動を受けて日本ウイグル国会議員連盟に対し、本当に申し訳ない、恥をかかせてしまったとお詫びしています。余談になりますが、かつてトゥール氏がウイグル活動の実権を掌握した際、その時代を知るウイグル人は、現ウイグル協会の役員では少数であり多くは残っておりません。ほぼ刷新された組織体制がトゥール氏の(意図的なのか事故なのか分かりませんが)所業により謝罪する事態に陥ったことを、地方議員の会は重くみております。

 

(2)那覇市議会の喜ばしい決議が、ネット上で紹介されにくい状況
 令和3年(2021年)3月22日において、那覇市議会において「中華人民共和国による人権侵害問題に対する調査及び抗議を求める意見書」が全会一致で採択されました。この意見書は冒頭が「新疆ウイグル自治区で、大規模な恣意的勾留、人権弾圧が中国当局によって行われていることを国際社会は深く憂慮している。」から始まる、かなり深く踏み込んだもので、地方自治法99条に基づく議会手続きでした。併せて、4月24日において沖縄タイムスに掲載されたのですが、保守系はこの報道を大きくは取り上げませんでした。
 ご存知のように沖縄県は保守劣勢の状況です。県庁所在地である那覇市においても、市長・市議会与党ともにオール沖縄陣営です。その中で、人権問題であるとして本決議が採択され、しかも全会一致であることは、大きなニュースとして扱われました。当会においても、第二回代表理事会を国会で開催した際においては、理事会に参加した国会議員・地方議員からも讃えるコメントが寄せられています。
 しかし報道で取り上げられた際には、“日本ウイグル連盟のトゥール会長”が掲載されていました。本件決議が全会一致で採択されたことを受け、その御礼という形で沖縄を来訪したもので、感謝の沖縄来訪は責められるものではありません。この決議はトゥール氏のために採択されたわけではありません。全会一致に持ち込むためには、凄まじい政治負荷が費やされたのでありますが決議に尽力した当該那覇市議は、トゥール氏個人はおろか、ウイグル協会・ウイグル連盟の違いも把握していなかったのが現実です。
 本件を政治トラブルの事故事例として取り上げざるを得ないのは、ウイグル問題の一助となるべく努力した保守系地方議員に対し、事態を深く知る者たちからの心無い発言もあったためです。確かに一本化に至るまでには、膨大な政治コストが支払われたことは事実であり、それは主としてウイグル人が流した汗でありますが、この努力に敬意を払ってきた者からすれば『ウイグル連盟のトゥール氏と那覇市の決議』は、衝撃的な報道に見えたことでしょう。例えば(せっかく一本化が完了した)ウイグル活動への分派工作・分断工作に映ったゆえの反応かとは存じます。
 その上で、当該議員はなんらの情報を有しておらず、また地方議員の会すらも“日本ウイグル協会を唯一公式の窓口と認定”するに至った背景を持ちえず、さらにはその過程についても把握できる状況になかったことは事実として指摘されねばなりません。
 例えば自民党に所属する地方議員が、同党国会議員連盟の想像以上に強い方針決定があるにも関わらず、意図せずに異なる政治判断をしてしまう可能性は、もはや政治リスク以外の何物でもありません。国と地方は対等だと言われてはいても、地方議員にとっては政治生命にかかわる事態を引き起こしかねず、このような手引書が地方議員側からも緊急で求められた次第です。

 

(3)国会議員連盟の事務局に対する、日本ウイグル連盟の主張
 前述の国会請願の提出において、ウイグル国会議員連盟は50名以上が参加しているのですが、紹介議員は衆参両院1名ずつに留まっています。理由は国会議員連盟の事務局には連絡が行っておらず、その他の自民党の国会議員を紹介議員として提出、ウイグル国会議員連盟は“報道で知った”状況で、署名に協力してきた日本ウイグル協会も呆然としていました。
 委員会によって数の差はあれど、委員会によっては600本近い請願が提出されます。よって、全ての請願の提出状況を把握することは不可能であり、(知らぬ間に)提出され終わっていた請願について、ウイグル国会議員連盟を責めるのは筋違いです。のち、すべての請願が審査されるわけではないこと、“紹介議員20名がいる場合には確実に審査対象”(国会法)になると知った提出者は、ウイグル国会議員連盟の事務局である長尾敬衆議院議員に喰ってかかりました。
 日本人の古参支援者は、請願の提出に際する注意点を事前に詳しく説明しており、提出者も説明を受けた事実をTwitter上で公式に認めています。提出者がなぜウイグル国会議員連盟を無視して提出したのかは分かりません。
 併せて国会議員連盟の名誉のために付記いたしますが、長尾先生が「紹介議員を引き受けてくれなかった」という個所は、事実ではないと証言いたします。

 

 

 ここからは政治的な推論になりますが、ウイグル国会議員連盟の一部はトゥール氏の過去の所業について把握していること、またウイグル協会に一本化していることをトゥール氏は理解していたため、提出に同行したトゥール氏が意図的に国会議員連盟を避けさせたのではないか?とも言われています。
 下記は、ウイグル協会の協力もあり集まった5万人の署名を、提出者とともに同行して提出した、日本ウイグル連盟のトゥール・ムハメット会長の投稿です。報道に乗り、日本人の提出者の投稿に対し、下記のように述べております。
 また国会議員連盟事務局である長尾先生の投稿は、ウイグル活動の一本化をどれほど国政が求めてきたかを推察することができるかと思います。

 

 

 上記の投稿から、トゥール・ムハメット氏は、過去においてウイグル活動の実権をごく短期間において掌握した際と同様に、氏独特の旺盛な権力欲から行動を再稼働させたと考えられています。その第一段階として、日本ウイグル協会と日本ウイグル連盟を「同じ扱い」と認定するように迫っていると判断せざるを得ません。

 

(4)活動を妨害されたという被害者を装っての抗議
 日本全国どこであってもトゥール氏が講演するのは自由であります。
 下記のトゥール氏の投稿は事実ではありません。当会の副会長(幹事長)の小坪慎也・行橋市議は、このような発言を行っておりません。具体的には、前提として述べた内容は“協会に一元化されているため、(ウイグル連盟に対し)政治サイドは協力できないと思う”かつ、“トゥール氏の講演については、議員として参加はできない”というものです。

 

 

 当会は、“小坪副会長がトゥール氏の講演自体を潰そうとした”と虚偽を流布されていると承知しておりますが、彼は本講演の主催者も把握していなければ、主催者の連絡先を問うた事実すらありません。実際に危険があると判断し、仮に講演会の中止を要請するのであれば、主催者に対して対面で要請すると小坪副会長は述べています。『トゥール氏の講演会があり知人が参加するのだが、どう思うか?』という相談に対し、「(貴方にとって)その方が大切な人なら伝えればいいが、日程も差し迫っている状況でマイナス情報を入れても揉めるだろう。どうでもいいならば、伝える必要はない。」が小坪議員が相談者にした短いアドバイスです。
 そして、本件においても日本人に発言させ、それをトゥール氏は利用する恰好になっています。また、小坪副会長らは、常套手段である「中共のスパイ」かのようなレッテルを貼られました。

 

 

 
 
 
 
(5)弾圧を受ける13民族団体の窓口をも攻撃
 (4)で示したトゥール氏のtweetにおいて、石井英俊氏の名前が冒頭に記されていることからも、トゥール氏は石井氏への攻撃の姿勢を強く示しています。石井氏は、ウイグルのみならずモンゴル・チベット香港などCHINAに弾圧される民族の13団体と連携している主要人物の一人であり、例えば、令和3年4月12日に“チベット、ウイグル、香港 在日団体代表「早期の国会決議を”(産経)と報じられておりますが、この司会とコーディネートをやっている人物です。対中国に各在日民族団体が結集するにあたって要であり、事務局長を務めています。
 同13団体は国会決議を求め、足並みを揃えて様々な行動を行っています。ただし、トゥール氏が会長を務める「日本ウイグル連盟」は名を連ねておりません。これは、日本ウイグル連盟が実態としてトゥール氏の個人団体に過ぎないことや発言の特異性を鑑みれば客観的に見ても当然の判断です。しかし、トゥール氏が政治的に復権を目指していると仮定するならば、石井氏が日本人側の門番のようにも見えた可能性は否定できず、それが原因で逆恨みされているのかもしれないと述べています。
 石井氏がターゲットとされた理由は分かりませんが、ラビア前総裁のビザ発行妨害事件を起きた団体(自由インド太平洋連盟)において、日本人で唯一副会長を拝命しています。トゥール氏はビザを妨害しようとするほどラビア入国阻止に動いたのですから、石井氏らの関連でラビア氏が来日したことを恨まれているのかもしれないと彼は振り返っております。
石井氏は古くからのウイグル支援者の一人でもあるため、結果的にトゥール氏の実態を深く知る、数少ない日本人の一人でもあります。彼から過去の所業が漏れることを危惧し、「中共のスパイかのようなレッテル」を貼られたのではないかと考えています。その上で述べておきますが、石井氏を含めて“トゥール氏の過去”や“ウイグル問題の負の歴史”については、日本人支援者は墓まで持って行くという方針でありました。それが理由で石井氏を攻撃したのならば、それはトゥール氏の勘違いと言わざるを得ません。
 問題は、弾圧される諸民族の、事務局長である石井氏に対し、トゥール氏が“中共のスパイかのようなレッテル”を貼ろうとしたこと、その一点です。他の民族団体の窓口も兼ねる人物をターゲットにした理由はまったく分かりませんが、トゥール氏は何がしたいのだ?という声はウイグル以外の民族団体からもあがっています。現場のモチベーション低下につながったことは否めません。

 

 

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 第四章(1)~(5)は、トゥール氏が、5月初旬から6月の僅か一か月で発生させた政治的なトラブルです。国会決議の採択を目指すがゆえに、立場のある国会議員やいずれの民族団体も身動きができない状況下でありますが、トゥール氏の過去のキャリアから察すれば相手が動けないことも理解した上で、責任が問われない個人団体の機動性を活かし、日本人を振り回し政治を混乱させている状況はもはや意図的であるとすら感じさせます。
 現場レベルにおける被害は甚大であり、のみならず今後さらに参加する心ある日本人を思えばこそ、何がしかの手引書の必要性が緊急で求められるに至りました。
 

 

 

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 本書はウイグルを応援する全国地方議員の会が、各自治体の議員および共闘する国会議員に対しウイグル問題を政策的に取り上げる際に留意すべきガイドラインとして必要な情報をまとめたものですが、広くウイグルを応援する方々にも情報共有のため公開させて頂きます。
 これまでの経緯の説明のため必要な情報を網羅しており、非常に情報量の多いものになっています。「はじめに」を読まれたあとに「結語」を、それから各論を読んで頂けると、より内容が理解できるかと思います。

 

 

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