第三章 トゥール・ムハメット氏(日本ウイグル連盟)の諸問題

2021年6月10日 資料

 

 

第三章 トゥール・ムハメット氏(日本ウイグル連盟)の諸問題

 

 

 イリハム・マハムティ氏同様、ここで挙げるトゥール・ムハメット氏も、初期の段階からウイグル問題を発言し、世界ウイグル会議前総裁のラビア・カーディル氏来日時は通訳などで活動してきたウイグル人です。その限りでは、氏が自らの団体を組織して活動をすることは自由です。ただし、彼の言動には、過去においても近年・現在においても多くの問題を含んでいます。

 

 

(1)政治闘争のために虚偽報告を行い、櫻井よしこ先生やラビア・カーディル総裁に被害
 トゥール氏は、権力志向が強く、在日ウイグル人においても突出した“政治家のような”スキルを有しています。政治闘争を好む性格であり、これは他の在日ウイグル人とは一線を画す、トゥール氏個人の特徴になります。その傾向には一定の法則があり、自らを支持しない在日ウイグル人をすぐに敵認定するというものです。多くの場合、充分な根拠なく「中共のスパイ」と認定し、かつ言論人や政治家に密告して、発言力の大きな者の力で一方的に貶めるという方法です。
 かつて、トゥール氏はあるウイグル人を“中国政府の協力者であり、事実上のスパイ、工作員である”旨の情報を、著名な保守言論人や周囲の日本人支援者に説きました。そのウイグル人にも、多々問題があったことは事実です。しかし、確固たる証拠がない段階で他者をスパイ呼ばわりすることは運動に混乱をもたらします。
 この件は後に警察沙汰や裁判にも発展し、日本人を含む関係者の名誉を守るために具体的には書きませんが、他にもトゥール氏は、他のウイグル人が自分と敵対している、意見が異なると判断しただけで罵倒し時にはスパイ呼ばわりした例はいくつも存在します。
 具体的な被害者には、櫻井よしこ先生が含まれており、トゥール氏の言い分を紙面に執筆してしまった結果、謝罪する事態に発展しました。Googleで「櫻井よしこ ウイグル」で検索したところ、検索1位は2012年の世界ウイグル会議のHP、記事としては2011年のものが検索結果の検索2位であります。日本人支援者らは、この事件以降、櫻井先生がウイグル問題に触れなくなったと感じており、現場レベルでは非常に残念に思うとともに禁忌とされました。日本人としては、トゥール氏の嘘により櫻井先生が謝罪撤回に追い込まれたことは、感情的にも絶対に許せません。
ラビア・カーディル総裁も同じ被害にあっています。あるウイグル人はトゥール氏と仲があまり良くなく、それで日本人に対して“トゥールはダメな奴”と言うこともありました。それをトゥール氏は自分の活動の妨害をする中国の回し者だと決めつけ、ラビア総裁に講演会の場でウイグル人の中にも裏切り者がいるとし、当該ウイグル人を特定し想起させるような発言をさせました。
 トゥール氏は、肩書きを用いて有力者を信用させ、他者の発言力を用いて自らの政敵を葬る手法をとってきました。被害にあった、政敵とされたウイグル人は複数にのぼります。密告を奨励するかのような素行もとっており、かつ表面上は自らを被害者として装います。
 これはトゥール氏のみならず、中国のような独裁政権下の国においては、民衆が相互に密告することを強制されるため、日本のような自由民主主義の国に逃れた後も、いつの間にか他者を信頼せず、同じウイグル人に対し、少し疑問を覚えただけでスパイ呼ばわりする傾向があることは事実です。他のウイグル人活動家にも、今後、そのような行為は利敵行為であり名誉毀損として法的争いになりかねないことは日本人支援者が忠告していくべきことでもあります。

 

(2)直情型の性格の凶暴性、警察沙汰
 2020年3月のことでありますから、本書執筆時点では一年ほど前の事例であり古い話でもありません。“習近平主席を国賓として招くことに抗議するデモ”が開催され、日本人のみならず弾圧を受ける様々な民族が結集しました。ここには日本ウイグル協会も参加しており、多数のウイグル人も参加いたしました。そして、トゥール氏も連盟としてなのか、個人としてなのかは分かりませんが現場にいたのであります。
 デモ集会後のことなので在日ウイグル人らも我慢したのでありましょう。(1)の件により、もはやトゥール氏を見かけたら追い掛け回すウイグル人がいるような状況にありました。その原因はトゥール氏側にあることは明白で、誰と誰をスパイ認定して葬ろうとしたのか日本人支援者は分かっておらず、ウイグル人コミュニティにおいては今はトゥール氏を敵認定する者すらおります。明白と述べた理由はトゥール氏は謝罪も撤回もせずに放置したままだからです。
 参加していた(かつてトゥール氏の被害にあったと思われる)在日ウイグル人は、トゥール氏に猛抗議を行い口論に発展。このウイグル人もデモの邪魔にならないために終了後まで我慢していたと推察されます。そこでトゥール氏は先制攻撃、こづいた程度ではありますが手を出してしまいます。トゥール氏は感情的に対応し、暴力沙汰として警察が介入する事態となりました。
 仮に両者に非があったとしても、少なくとも、日本ウイグル連盟という運動の指導者を自称するのであるならば、様々な各団体が心を一つにして訴える場で、このような事件を起こすべきではありません。
 この場には前環境大臣の原田義昭先生も参加されており、また地方議員も数多く参加しております。不祥事が運動の評判を落とすことへの自覚はあるべきです。

 

(3)ラビア・カーディル氏来日に際する妨害行為と偽情報の流布
 世界ウイグル会議の前・総裁ラビア・カーディル氏と、トゥール氏はある時期においては良好な関係にあり、日本における代弁者として認められていたことは事実です。そして、その良好な期間は極ごく一時的なものであり、実は内実を伴わない状況であったことは知られていない事実です。古参の日本人支援者の中では常識になっておりますが、トゥール氏は(ラビア日本代表を名乗っているにも関わらず)ラビア氏がここ日本で講演する機会を妨害するという行為に至りました。
 2018年、自由インド太平洋連盟という、各アジア諸民族の連携を目指す団体の結成が進められ、10月には結成大会が予定され、会長にはラビア・カーディル氏が就任するはずでした。トゥール氏も最初はこの団体の準備委員会に参加していました。
 しかし、トゥール氏は急に、自由インド太平洋連盟団体関係者に何の連絡もなく、8月にラビア氏の来日講演会を別の保守系団体主催で行うことを発表しました。10月に来日予定のラビア氏が、8月に日本に来ることは不自然です。しかし、結局来日は実現せず、然も事前にそのことはわかっていたはずなのに(ラビア氏来日は外務省を通じた入国ビザが必要ですから)開演当日においてもトゥール氏から保守系団体には報告されず、講演会は急きょ別の方が講師を務めました。これは参加者にも主催者にとっても無礼なことであり、事前に来日が無理であることを報告、告知をしなかったトゥール氏の責任は大きいと言えるでしょう。推論にはなってしまいますが、ラビア・カーディル日本代表を名乗り、その威光を振りかざしていたトゥール氏にとって、すでにラビア氏と連絡がつかない事実はひた隠しにしたかったのではないかと考えられております。
 続いて、10月のラビア氏の来日については、ビザ交渉も含めほぼ確定となっており、一部マスコミにもそのことが告知され始めました。トゥール氏は、“ラビア・カーディル日本代表”という肩書をネット上でも用い、ツイッターやFacebookなどネット上で「ラビア氏の来日は未決定」「来る予定はない」という趣旨の投稿を行いました(現在は削除)。8月は「来る来る」と虚偽を述べたのですが、10月は「来ない来ない」と誤報を発信し日本側の支持者を混乱させました。
これだけでも妨害行為ですが、さらに問題行動は続きます。ラビア日本代表の肩書をもって「来ない」と発言したトゥール氏の発言は事実ではなく、実際にラビア氏が日本に入国しようとしたところ、トゥール氏は国会議員に対しラビア氏へのビザ発行を止めるべきだという趣旨の連絡までしています。(国会議員から団体関係者が確認)。ことの顛末は通訳を介してラビア氏本人にも報告され、トゥール氏はラビア・カーディル日本代表を解任されています。
 どのような理由があれ、このような運動への妨害行為は許すべきではありません。運動方針に疑問があれば言論で抗議するのが筋であり、これ以後、ラビア氏のみならず、日本人活動家とトゥール氏の関係はひどく悪化しました。

 

(4)幸福の科学、幸福実現党との関係
 幸福の科学の信仰や、実現党の政治的活動の是非はここで論じることではありません。
 ただし、現在の日本ウイグル協会の基本方針としては、信仰の自由、政治活動の自由は認めた上で、特定の宗教団体に自分たちが政治利用される危険性に対しては慎重でありたいという立場に立っています。また、彼らのイスラム教徒としてのアイデンテイティからも同様のことが言えます。オウム事件以後、カルト宗教の問題に対し国民の眼が厳しくなっていることは、議員の先生方に今更言うまでもないことと思います。
 しかし、トゥール氏は以前も、幸福実現党や幸福の科学の集会でも講演し、現在もその機関誌「リバティ」に寄稿しています。それも氏の自由ですが、ある日本人支援者がトゥール氏に、幸福の科学についての意見を問うた時には、「必要と判断した場合は利用させていただく、(日本の政治家同様に)不要となった場合は関係を断つ」という趣旨の返答が返ってまいりました。
 そのような損得の判断で宗教団体と交流する姿勢は極めて危険であり、それによって得るものよりも失うものがはるかに大きく、ウイグルを支援する一般人から誤解を招く危険性があり、また、ジャーナリストたちがウイグル問題への報道をためらう要素にもなりかねません。
 同時に善良なウイグル人に同情を寄せる日本人が、幸福の科学や実現党に、ウイグル問題をきっかけに引き寄せられる危険性は、政治家として無視できない問題ですし、幸福の科学の側にとっても、利用対象としか見られていないことは不本意なことと考えます。
 この発言には別の問題もございます。日本ウイグル連盟が設立されトゥール氏が会長に就任し、またラビア氏が世界ウイグル会議のトップで、かつ一時的にトゥール氏がラビア氏との関係が良好であった時期でありました。つまり、トゥール氏が日本国内でウイグル問題の実権を掌握した際のことで、連盟の会長としての発言です。本書は決して幸福の肩をもつわけではありませんが“利用するときは利用する”と言い放ち、実権を握ることができたので(これからは)「切る」とあっさりと発言したことは、“幸福の方も日本人だぞ”と日本人支援者は憤りました。トゥール氏個人の特徴になりますが、根底に“異教徒は利用して構わない”と考えている節があり、日本人支援者は気を付けて接する必要があります。

 

(5)「お前ら中国人が悪い」という暴言を発したトウール氏の態度とテロまがいの発言
 ウイグル問題を極端な民族対立の場にしては喜ぶのは中国共産党
(5)についてはウイグル問題とは無関係の舞台になります。中国政府の暴虐な弾圧はウイグル人や諸民族に対してのみならず、法輪功修練者ら同じ中国人に対しても向けられています。法輪功修練者が、彼らに対する臓器売買の犯罪を告発するための、SMGネットワークが主催したある会合に出席したトゥール氏は、彼らの前で、中国政府や共産党批判ではなく、『中国人(漢人)全体への批判』をはじめました。
 集会後の懇親会の場ではありましたが、参加していた地方議員は単に来賓として参加していたわけではなく、“被害実態をヒアリングするため”にお話を伺っていた状況です。繰り返しますが、ウイグル問題のための場ではありません。類似の弾圧を受けていることに鑑み、共闘体制が模索されていた時期でありましたが、その経緯でトゥール氏も参加していた次第です。言い換えれば、ウイグルを応援する全国地方議員の会が設立される前のことではありましたが、地方議員は最初からトゥール氏を排除していた事実はありません。

 4人掛けのテーブル席で、トゥール氏が正面、議員の隣に中国人女性がおり、議員は被害実態を伺っておりました。最初は中国共産党の悪口を言っており、このような場ですから参加者の誰も何も言っておりませんし、これは咎められるものではありません。しかしトゥール氏は、中国共産党批判から中国人全体への批判に論が転換していきます。さらにエスカレートし、法輪功修練者の女性に対し「おまえら中国人が悪い!」と眼前で責め始め、罵倒を繰り返しました。言うまでもありませんが、この中国人女性も中国の弾圧の被害者です。このタイミングは、いまほどウイグル問題が盛んに取り上げられていた時期ではなく、なんとか弾圧を受ける方々が手を取りあって頂けないかと政治側が思案していた時期になります。
 同席していた議員が制止しても、ややトーンダウンはしたものの、トゥール氏の暴言や罵倒の類の発言は止まりませんでした。困り果てて、議員は席替えを要請しました。

 中国人(漢民族)の伝統的な中華思想の問題、現在のウイグル収容所での民族絶滅政策を思えば、ウイグル人の怒りが共産党ではなく中国人全体に向かうことは已むを得ない面もあります。しかし、運動の指導者は、そのような感情を抑え、あくまでこの問題は人権問題、かつ、ウイグル人の民族自決権の問題として訴えるべきであって、中国人への憎悪を煽ったり、公的な会合の場で、しかも同じ被害者を攻撃するような行為をおこなってはなりません。
 問題は続きます。議員は、それでもトゥール氏の顔を立てようとウイグル問題に話題をふり「我々(地方議員)にできることはあるか?一番して欲しいことは何か」と問うたところ、トゥール氏は「お金が欲しい。」と答えました。真顔で言われて市議も困惑しました。
 弾圧を受ける者同士の横連携を模索していた議員は、周囲に人もいたため困ってしまったのですが、「何のためのお金ですか?」と問うてしまいます。そして、トゥール氏は「武器を買う。中国人を皆殺しにする。」と、中国から弾圧を受ける中国人たちの前で宣言しました。
 たとえその場の感情であれ、現職の地方議員の前で、テロまがいの発言をすることの危険性が判断できないというのは問題です。

 これは、当会(ウイグルを応援する全国地方議員の会)が設立される前のことにはなりますが、地方議員はトゥール氏を排除してきた事実はなく、我々自身もウイグル連盟も含めた関係構築を目指した時期があったという歴史になります。実は、この議員とは、丸山治章(逗子市議)でありウイグルを応援する全国地方議員の会の創設者にして現会長になります。
 “敵と味方が分かっていない”と、地方議員側がトゥール氏との関係に疑問を持った確定的な事象になります。
 地方議員とはいえ我が国の政治家に対し、周囲に人がいる状況において「皆殺し」と公言し、その武器購入の資金提供を求めた事実は、トゥール氏がテロリストに近い思想を持っていると認識されても不思議ではなく、またトゥール氏が会長を務めている日本ウイグル連盟はテロ組織の疑いありとして警鐘を鳴らすべき存在だと言わざるを得ません。
 併せて、ウイグル問題が今ほど活発化する以前のことでありましたので、この危険性を公言しネット上などに流布することは、ウイグル問題全体の解決のマイナスになるとの政治判断もあり、一般には公開してこなかったことも事実です。その点について、日本人に対する危機啓発が疎かになってしまったことについて、トゥール氏が当時は連盟としての活動が活発ではなかったは言え、お詫びいたします。
 当会は、本件について、公安関係者に通報すべき事案であると認定し、必要な対処をとる所存です。併せて、テロの資金提供を求めるような団体とは一切提携しないことを宣言いたします。

 これはトゥール氏以外の他のウイグル人たちと接する際にも、私たち日本のロビイスト・支援者そして政治家は、国会議員・地方議員を問わず留意すべきことですが、心情的に理解はできても、テロや憎悪をあおる発言を責任あるウイグル人の立場の人間が安易に口にするのは、何よりも中国共産党の「ウイグル人はテロリスト」というデマ宣伝を正当化しかねないという意味で、利敵行為になりかねません。そのことを常に意識することは、運動の指導者、公的な発言者としての責任であると考えます。

 

 

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 (1)~(5)の具体的な事実に基づき、これまでのことはともかく、今後はトゥール・ムハメット氏を日本におけるウイグル運動の代表者の一人とみなして国会議員、地方議員の方々が接することは、以上の問題についての最低限の公的謝罪がない限りは差し控えるべきかと考えます。それは何よりも日本におけるウイグル運動の発展の為でもあり、議員間での情報の共有が必要と考える所存です。
併せて新たにウイグル問題に興味をもって頂いた日本人にも、是非とも知っておいて頂きたい内容であります。この一本化は、政治を動かすことを念頭に置くならば大きな成果でありますが、逆に言えばここを抑えておかなければ政治側は一切の身動きがとれません。しかしながら、例えば単に街頭演説をするだとか、個々の政治活動が制約されることは一切なく、端的に「政治・行政を動かす場合」の留意点に過ぎないことを触れておきます。

 

 

 

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 本書はウイグルを応援する全国地方議員の会が、各自治体の議員および共闘する国会議員に対しウイグル問題を政策的に取り上げる際に留意すべきガイドラインとして必要な情報をまとめたものですが、広くウイグルを応援する方々にも情報共有のため公開させて頂きます。
 これまでの経緯の説明のため必要な情報を網羅しており、非常に情報量の多いものになっています。「はじめに」を読まれたあとに「結語」を、それから各論を読んで頂けると、より内容が理解できるかと思います。

 

 

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